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ŹOOĻ渾身の新曲「Bang!Bang!Bang!」で手に入れた新しい世界

bang!bang!bang

その時に、その場所で、その心でないと歌えない曲がある。

ŹOOĻの新曲「Bang!Bang!Bang!」を聴いた僕はそんな事を思った。この曲は彼ら一人一人が自分自身と向き合い、BLACK OR WHITEという最高の舞台で最高な相手、IDOLiSH7と対峙したからこそ歌えた曲なのだろう。ŹOOĻはこの曲でブラホワでの勝利を本気で狙っていた。

本気で作られたBang!Bang!Bang!

この曲には様々な要素がふんだんに詰め込まれている。棗巳波の持ちうる限りの音楽的知識・技術を惜しみなく注いで作られたであろう、まさに勝負の一曲。

これまでのŹOOĻの楽曲との大きな違いはBPMの速さだろう。ŹOOĻの特徴はラップとヘビーなロックサウンドの融合という事もあって、これまではローテンポ・ミドルテンポの曲ばかりだった。「Bang!Bang!Bang!」はEDM的なトラックがベースになっているので、過去曲とは比較にならないくらい速い。その勢いからは、彼らのBLACK OR WHITEに賭ける気持ちが伝わってくる。

アップテンポなビートに乗るのは、ŹOOĻの特徴でもあるラップやハードなギターサウンド。特にイントロから激しく鳴らされるギターリフはそれだけ聴いているとまるでメタルバンドのようだ。Bメロでは低音がしっかりと鳴っている。ヘッドホンで聴くと、まるで頭蓋骨までビリビリ響いてきそうな低域を鳴らすミックスにはヒップホップからの影響がうかがえる。

そんな複数の要素が合わさった楽曲なのに散らかった印象にならないのは、棗巳波の見事なバランス感があるからだろう。各ジャンルの良さを取り込みながらも、耳に残りやすいポップなサビによって、しっかりと一曲としてまとめられている。

楽曲の中でも特筆すべきなのはやはり、二番サビ後に入るラップパートだろう。リズムがハーフになり、トラップ的なビート上で披露される狗丸トウマのラップが最高だ。特に「毎日ギリギリ yeah, yeah」や「ハラハラのスキル楽しむ」などのフロウが気持ち良すぎる。

カップリングとして収録されている「ZONE OF OVERLAP」でもそうだが、4人が次から次にマイクリレーするようなスタイルがとにかく格好良い。そんな中でもボーカル・ラップスキル共に抜群の実力を持つ狗丸トウマが、自ら先頭に立って4人を引っ張っていく姿が印象的だった。

目覚めのZONE OF OVERLAP

この曲についてはストーリー上で初披露された時に既に記事を書いているが、いざフルコーラスで聴くと楽曲の魅力が更に増した。改めて聴くと、倍でもノレるテンポ感が気持ち良いし、御堂虎於の熱い歌声は聴く者に強烈なインパクトを与える。曲全体に緩急をつける落ちサビでの静かな展開は見事で、棗巳波の程よく力の抜けた「Yeah」の艶っぽさといったらない。

AメロラップパートからBメロでメロディアスになる極上の展開。代わる代わるメロディを歌いつなぎ狗丸トウマの叫びでサビに向かう流れ。今回、やっと音源として聴くことが出来た二番では亥清悠の絶唱が胸に迫る。初期の二曲「Poisonous Gangstar」「LOOK AT…」と比較すると、彼らは「ZONE OF OVERLAP」を境に明らかに変わった。

以前の楽曲では、どこか自分達が出来ることの範囲内でこなしている印象もあった。その余裕の格好よさは確かにある。だが彼らは、海外の音楽フェスという完全アウェーな状態でのライブに挑む事で自分たちの力を出し切る事を知った。その場では、かつての自分達の技術では誰も納得をしない。そこで初めて限界を超える体験をしたのだろう。

そして本物のギャングスターへ

世の中や、環境、更には自分達にすら本気にならずに、常に斜に構えたスタンスをとっていたŹOOĻの四人はもういない。自分達の存在を証明するかのように歌い、海の向こうの土地で賞賛を得た。そして本気で勝利したい相手、IDOLiSH7と対峙することで、手の内を出し惜しまず限界のその先まで力を出し尽くした。

初めてŹOOĻの存在を知った時には、そんな四人の姿を想像することすらできなかった。今の瞬間の為にŹOOĻは諦め、自惚れ、傷つけ、後悔をし、そして自分を超えた。

自分達の過去や、罪、あらゆるものを受け入れた上で、彼らは「俺たちは危険だ」と虚勢を張り、アンチヒーローとしての立場を選んだ。だからこそ、ŹOOĻはBLACK OR WHITEという大舞台で「Bang!Bang!Bang!」を歌うことが出来たのだろう。この曲で四人は初めて本当のギャングスターになった。

「新しい世界が欲しい」と歌っていた彼らは、自分達でそれを手に入れられる事を証明してみせた。他のグループの後を追う必要はない、ŹOOĻはアイドルとしての華々しさだけでなく猥雑さすら身にまとってこのまま進めばいい。

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