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IDOLiSH7単独公演 LIVE BEYOND Op.7を観て

2022年1月22日・23日。IDOLiSH7発の単独ライブLIVE BEYOND Op.7がさいたまスーパーアリーナで開催された。

新型コロナウィルスの広がりもあり有観客公演の判断が難しい中、ライブは本当に行われるのか、直前まで全然状況が分からない妙な緊張感があった。配信での鑑賞を選択した僕は、画面に映る会場いっぱいに集まったマネージャーの姿をぼんやりと見ながら不思議な心持ちだった。

会場が暗くなりオープニング映像とBGMが流れる。それぞれのメンバーがモニターに映し出され、流れるように始まった1曲目は「DiSCOVER THE FUTURE」

ステージに現れた7人の姿を、笑顔を見た時に、あまり感じたことのない感動を覚えた。安心感を得たような、希望を見たような、そこで踊る7人は真っ直ぐに未来を見つめていた。

これから先、どうなるのかが分からない世界に対し、未来は自分たちで見つけに行こうと宣言するこの曲ほど、今回のオープニングにふさわしい曲はなかっただろう。彼らの真っ白な衣装はこれから何者にだってなれると表しているようだった。

次に披露されたのは「Perfection Gimmick」和泉一織センターで披露されるこの曲で、会場の雰囲気は一気に変わる。いつもより少し大人な表情を見せるIDOLiSH7。最早定番となった間奏の振り付けで会場を盛り上げる。

2日目は曲が変わり、2曲目にして早くもIDOLiSH7屈指の名曲「RESTART POiNTER」公演初日にセンター交代時代の楽曲、2日目に七瀬陸センター復活の曲を披露するという見事な演出。

「RESTART POiNTER」と言えば、ライブでもクライマックスになるくらいの代表曲に違いない。そんな重要な曲を両日やらないという選択ができるほど今のIDOLiSH7の楽曲は充実している。事実、「RESTART POiNTER」が披露されなかった初日公演に物足りなさは微塵も感じなかった。

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MCを挟んでの新曲「Boys & Girls」は会場一体となってのハンドクラップで盛り上がる。ライブのボルテージを上げるのに打って付けの楽曲だ。

その熱気のまま歌われる「Dancing∞BEAT!!」でメンバー全員がトロッコに乗り客席の近くまで向かう。マスクをし歓声を上げられない状態でも、ペンライトやうちわでメンバーへの気持ちを伝える客席。それに全身で答えるメンバー達。声がなくても伝えられるものは沢山ある。

中盤、壮五のソロで歌われる「ふと隣 見ると仲間がいるんだ」というパート。会場を手で指し示す彼の姿を見た時、メンバー自身がマネージャーの事を仲間だと思っているんだと胸が熱くなった。

「Dancing∞BEAT!!」が終わるとそのまま聞こえてきたのは「THANK YOU FOR YOUR EVERYTHING!」まさかのメドレー形式。この2曲の繋がりは間違いなく盛り上がる。

センターステージへ戻り、メドレーのまま披露されたのは「NATSU☆しようぜ!」彼らにとって色々な想いが詰まっているこの曲を7人だけで歌える日が来るとは。アップテンポで夏の陽気そのままの「NATSU☆しようぜ!」に感動することがあるとは思いもしなかった。

2日目に「NATSU☆しようぜ!」の代わりに披露されたのは「PARTY TIME TOGETHER」のホリデーバージョン。年末に聴いて心を奪われた見事なアレンジの楽曲。これが聴けるとは思ってもいなかったので、本当に素敵なサプライズだった。

少し落ち着いた雰囲気で披露された「ハツコイリズム」で会場の雰囲気はガラリと一変する。しっかりと丁寧に、そして感情を込めて歌われる美しいメロディ。元気で明るいアイドルだった彼らが、今ではこんな顔も見せるのかと感慨深くなった。

ARによる光の演出と、エレクトリックなダンスビートから自然な流れで披露されたのは「THE POLiCY」楽曲・演出・映像・レーザー・ライティング、そして歌。全てがハイレベルに組み合わさったこの曲は、今回のライブの中でもハイライトの一つじゃないだろうか。7人それぞれが思うままに感情を込めて歌う姿。これこそがアイドルであり、アーティストなんだろう。最後、伸びやかに歌う陸の声がどこまでも届いて欲しい。

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IDOLiSH7らしい楽しげなMC後に披露されたのは「NAGISA Night Temperature」軽やかな曲にぴったりのキャッチーな振り付けで会場の一体感は増していく。

曲が終わりステージが暗転、ライトアップされるとステージにはMEZZO”の2人。歌われるのは「未来絵」逢坂壮五が作曲という新たな表現を手に入れてから、ライブで披露される初めてのバンドサウンド。相変わらずこの2人のボーカルの安定感・感情表現は凄い。曲の終盤、メインステージへ歩きながら「一緒にいこう」という歌詞とともに顔を見合わせた時の表情から、彼らの関係性が伝わってくる。

メインステージで披露された2曲目は壮五にとっても環にとっても大切な曲であろう「Forever Note」これまでのMEZZO”の印象を大きく変えたエポックメイキングな曲。いつかこの曲をステージで歌う環を観たいと思っていた願いが叶った。

壮五にとっては初めて作曲した曲、環にとっては大切なパートナーが自分のやりたい事を見つけた曲。環が壮五の目を見ながら力強く歌う「一人じゃないんだよ」という歌詞に胸がいっぱいになった。

次は一織と陸による「解決ミステリー」MEZZO”のシリアスな雰囲気から会場は一転してサーカスのような楽しげな雰囲気に。陸の天真爛漫さと一織のクールなスタイル。この二人のコントラストがあるからこそ生まれる幸福な空間。歌うのを忘れるほど楽しそうにステップを踏む陸。それを見守る一織。会場は圧倒的な多幸感に包まれた。

3組目のユニット曲「My Friend」は大らかで優しい曲。ステージを動き回らなくても、アイコンタクトを取りながら三人で並んで歌うだけで十分気持ちが伝わってくる。声の出しづらい三月を自然にサポートする大和とナギ。お互いを助け合うのは彼らにとっては当たり前のことなんだろう。その姿はそのまま「My Friend」という楽曲にぴったりで、それはどんな演出よりも特別で感動的だった。

7人がステージに集まり披露されたのは最新アルバムからの新曲「Everything is up to us」これまでのIDOLiSH7からは想像も出来なかったスケールの大きな曲。ラテン風のギターや、ポストトラップなど欧米のトレンドにも目配せした挑戦的なトラック。そこで歌われるテーマは世界、そして未来へ向けての願い。彼らはもう時代を駆けてくのではなく、時代を引っ張っていく時なのかもしれない。

ピアノ、そして弦楽器隊を加えて披露されたのは「Sakura Message」IDOLiSH7史上屈指の名バラード曲が、生演奏を加えることで、より美しく繊細に表現される。メンバー7人それぞれの気持ちがしっかりと歌に乗り、伝わってくる。彼らのライブ史上、最も感動的だったかもしれない今回の「Sakura Message」は桜色の景色と共に記憶に残る。本当に大きなステージが似合う曲だと改めて感じた。

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生演奏された桜春樹への追悼曲がしっとりと会場を包んだ後、ステージは一気に冬の景色を描く。この光景とエレクトロなビートですぐに伝わる「Mr.AFFECTiON」今回のライブで最も楽しみにしていた楽曲の一つ。MV衣装そのままの姿のメンバーが階段状のステージに座っているだけで絵になる。ARで表現される極寒の風景と、エモーショナルな歌声。目の前に広がるのは「Mr.AFFECTiON」の世界観そのままだった。

その後、歌われるのはブラホワ繋がりでの「MEMORiES MELODiES」初めてのブラホワで披露された大切な曲。この曲の前向きなエネルギーを目の当たりにすると、ポジティブな喜びと共にライブも終盤だと教えられたようで、少し切ない不思議な感情を抱く。

2日目に披露された「Viva! Fantastic Life!!!!!!!」では、初日とは全く違う情熱と色気を表現。この曲は本当にライブ映えする。何度も映像でこの曲のライブパフォーマンスを観たが、観る度にIDOLiSH7の表現力の幅広さに驚かされる。

ライブ本編は一気にフィナーレへ向かう。彼らのディスコグラフィーでも屈指の名曲「ナナツイロREALiZE」のイントロが鳴った瞬間に込み上げてくるものがあった。ステージカメラがメンバーそれぞれの笑顔を捉える。カメラが進む先にあるのはスポットライトをバックに立つ7人のシルエット、その後ろに広がるカラフルな光の海。全員で作るこの景色が本当に答えなんだろう。

未来なんて何があるのか分からない。僕たちは今できることを精一杯やるだけだ。何かや誰かを批判することは簡単だけど、そこで新しいものは生まれるのだろうか。そんなネガティブな気持ちを消してしまうほどの光と笑顔がステージには溢れている。それだけでいいじゃないか。関係ないのかもしれないけど、そんな事をふと思った。

本編の最後は「WiSH VOYAGE」彼らが歌うのはいつだって希望への歌だ。そこが今どんな世界でも、希望への旅は今すぐ始められる。それにはまず自分が一歩を踏み出すことから。何が正解かなんて誰にも分からない。だから壁にぶち当たった時には笑ってしまえばいい。

悩みだって苦しみだって、全てを受け入れた上でステージに立つ彼らを見ていると、希望というのは自分で描き、手に入れるものなんだと教えられる。それが難しい事も彼らは知っている。だから僕たちも何回だって歩き始めればいいんじゃないだろうか。本編最後、ステージに真っ直ぐ立つ7人を見た時、涙が溢れそうになった。

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アンコール1曲目に披露されたのは「Everyday Yeah!」日常への愛しさを歌った優しい楽曲。今回のライブを楽しみにして、日々の生活を営んできた全員を受け入れる大きな歌。やっぱりライブは日常ではないし、特別な日なんだと思う。その特別な日があるから人は頑張れる。特別はずっと続かないから特別だし、終われば日常が始まる。だからこそ陸は2日目に「明日もまた いいことがありますように!」と祈った。

アンコール2曲目に披露されたのはまさかの新曲「WONDER LiGHT」YOASOBIのAyaseが作曲したというこの曲は、IDOLiSH7の更に新しい表情を見せてくれた。ネオンや夜の街が似合いそうなトラックに、特徴的だけどキャッチーなメロディが乗る。しっかりとした音源で聴ける日が待ち遠しい。

メンバーそれぞれから今回のライブへの想いを伝えてくれる挨拶があり、最後に披露された曲は「MONSTER GENERATiON」はじまりの曲で、初めての単独公演を締め括る。9人の観客の前で初めてライブをした彼らは、さいたまスーパーアリーナをいっぱいに埋められるほどの存在になった。

これまで何度も聴いてきた“モンジェネ”もいつもより特別に聴こえる。「どんな景色を掴めるだろう」と歌っていた彼らの前に広がる景色は、想像していたものより大きかっただろうか。

この光景を止めてはいけないし、これからもっと大きな光に包まれる世界へ、きっと彼らは向かっていく。どんな時でも、IDOLiSH7は未来へ進む大切さを知っている。最後に「未来はこの手の中に」と歌う陸の姿を見て、きっと大丈夫だと確信した。

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今回のライブは会場だけでなく、各地の映画館でのライブビューイングや、配信でも参加することができた。配信はアーカイブで1週間の視聴が可能だった。時間も空間もあらゆる次元を越える。これこそがLIVE BEYOND Op.7と名付けられた今回のライブだったのだろう。

僕はREUNIONのライブ後に書いた感想記事で、百の「体中に、精一杯、銀紙貼っ付けて、星のフリしてんだ」という言葉を引用して、必死に輝いている姿はアイドルそのものだった。と書いた。

アイドルのフリを必死にしているという固定概念が心の中に無意識にあったのかもしれない。でも今回のライブで楽しそうにステージに立つ7人の姿はアイドル以外の何者でもなかった。それは必死にフリをしているわけじゃなく、自然とそこにいる。少なくとも僕にはアイドルにしか見えなかった。

最後にオフマイクで彼らが伝えてくれる「ありがとう」そこに込められた沢山の想い。声では答えられないけど、精一杯の拍手と光でそれに応える客席。この美しい光景がずっと続いて欲しいと思った。

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