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アイドルビギナーの僕が選ぶ好きなアイドルグループ5組

favorite idol

2、3年前までは自分がアイドルを聴く様になるとは思ってもいなかった。そのくらい関心もなく全く知りもしなかったからだ。

そんな僕がなぜアイドルを聴く様になったのかというと、数年前にデザイン雑誌MdNのアイドルのデザイン特集を読んでからだった。そこに載っていた、でんぱ組.incのアートワークの格好よさ、BiSのRamonesなどを模倣した何でもアリ感に面白みを感じたのが最初だった。

そこからYoutubeでそれらのグループのMVを視聴してアートワークの面白さだけでなく、楽曲の良さにも気づいていった。これは所謂J-Rockバンドよりも格好良いんじゃないかと感じたわけだ。

そこで、元々熱心なアイドルファンではない僕が好きなアイドルグループを5組ほど絞って書いてみることにした。全然コアな内容ではないので熱いアイドルファンの方には目を細めて鼻くそでもほじりながら見ていただければ幸い。

欅坂46

個人的に今、最もエモーショナルで格好良くて面白いのが欅坂46だ。ベタベタにベタ過ぎる程にベタだがしょうがない。そのくらい彼女達に魅力を感じている。誰もが言うことではあるが、センター平手友梨奈の存在感が圧倒的過ぎてこの子は何なんだろうと思ってしまう。

大半の人が当たり前と思ってしまっている世の中への疑問をまっすぐな瞳で歌う姿。何かに憑依されたかの様な全身全霊のステージング。僕は不意にRage Against The Machineのザック・デ・ラ・ロッチャを思い出した。そうか、平手友梨奈は今の日本のザックだ。革命的なイメージもぴったり過ぎる。

欅坂46のテレビでのパフォーマンスを観るのも好きだ。特に最近の「エキセントリック」での片方の靴を脱いでゆらゆらする振り付け、「月曜日の朝、スカートを切られた」での座り込み、寝転がり、押し付け合いの振り付け。どんどん前衛的になり次はどんな振り付けなのだろうと言う期待が止まらない。

実は僕は初めて「サイレントマジョリティー」を聴いた時に苦手だと感じた。凄い凄いと話題になっていたのでMVを見た時に、歌詞に出てくる「大人は」と言う部分に尾崎豊イズムを根強く感じてしまい反射的に苦手と感じてしまった。

それが今となっては「サイレントマジョリティー」を聴くたびにエモーショナルな気持ちになってしまう。結局、最初はその真っ直ぐさに目を背けてしまったのだと思う。その位のパワーを持った楽曲だったいう事だ。

「不協和音」のMV終盤で平手友梨奈の一瞬見せる表情にも現れているが、欅坂46は最高に格好いい。

乃木坂46

乃木坂46はファーストアルバムが出た頃に丁度、Apple Musicを利用する様になっていた事もあり何となく聴いてみたのが最初だった。

AKB48的なものだろうと勝手に解釈をして曲を聴いた事が無かったのだが、アルバムアートワークがあまりに魅力的だったので聴いてみた。結局、その時に聴いた事でノギザカスバラシイと心を掴まれてしまったわけだ。

とにかく「君の名は希望」が好きで聴く度に泣きそうになる。誰が聴いてもぐっとくるんじゃないかと言うメロディに淡い思春期を感じさせる歌詞。あまりに何度聞いてもエモがこみ上げてくるので、自分は学生時代に透明人間あつかいされていたんじゃないかとすら感じてきた。

「君の名は希望」もそうだが、乃木坂46は特に一人称が「僕」の曲が素晴らしい。青春という言葉がぴったりで、自分はそんな青春を送っていなかったはずなのに心が締め付けられる。2000年代の始まりに「青春パンク」と呼ばれる音楽があったが個人的には乃木坂46の楽曲の方が青春性を感じる。

まるで別冊マーガレットの世界をそのまま表現している様な乃木坂46の歌詞世界は永遠の片思いだ。付き合う手前だからこその絶妙な淡い心情に心が揺さぶられっぱなし。

2016年に出たサマーチューン「裸足でSummer」の歌詞にもこの「僕」による青春が歌われている。片思いしている相手への微妙な距離感の歌詞も素晴らしいのだが、個人的にはサビの展開がツボだ。

1回のサビの中で繰り返される歌メロは同じなのに対して、コード進行が1回目と二回目で変化している事でサビが展開していく。ここに個人的に90年代のUSエモを感じて聴く度に熱くなる。さすがサマーソング。

でんぱ組.inc

アイドルソングを聴くきっかけのグループ「でんぱ組.inc」。この記事の冒頭にも書いたが「でんぱ組.inc」のアートワーク・MVが格好良く無かったら未だにアイドルソングを聴く事は無かったのではないか。

全くアイドルに興味が無かった人間を魅了するくらいにデザインが振り切れていた。異常なまでに密度の高いグラフィックが本当に格好良い。MVも実写・アニメ・CGを組み合わせて何度観ても飽きない。むしろ一度や二度観たくらいでは情報が処理しきれずに何回でも観たくなる。おそらく戦略的にそうしているのでは無く、情熱がつまり過ぎた結果この様な作品になっているんじゃないだろうか。

楽曲ももちろん過剰な情報量と、異常に展開を繰り返す所謂「電波ソング」だ。ハードコアなどスタイルとして確立しているものを除いて、高速BPMの楽曲が苦手なので最初はキツいかと思ったのだが、いざ聴いてみるとクセになる。

ある時、秋葉原文化とハードコアの融合なのだと気付いた。マイナスからのスタートなので、前に進むしかない。そこにはヤケクソに近いくらいのポジティブさが必要だ。とにかく前向きに。ある意味ストレートエッジだ。前向きに明るくアイドルをやる事が、アイドルにとってのハードコア性なのだろう。

sora tob sakana

全く持って楽曲が好み過ぎる。アイドルとして所謂ロックをやるグループはBiS、BiSHを筆頭に最早当たり前になっている。(今回入れていないが、BiSもBiSHも曲がめちゃくちゃ良くとても好き)

だが、どのアイドルグループも90s〜00sのアメリカンメインストリームのゴリゴリしたロック感を取り入れている。それをアイドルが歌う事でバンドが歌う以上に、エモーショナルで感動を呼び起こし熱くなるのだと思う。ただ、あまりにそればかりになると定型化してしまいアイドル=エモいが当たり前になってしまうのだとも思う。

そんな中でsora tob sakanaは明らかに異色だ。ポストロック・マスロック・エレクトロニカを基盤にした複雑な楽曲に乗せて、まだ10代半ばの少女達がアイドルらしからぬ非ポップなメロディを歌う。

それだけを聞くと只のイロモノの様だが、どうしようもなく心を掴まれる魅力がある。もしかしたら、元々自分の音楽の好みに合っているからなのかもしれないが、それだけでは説明できない何かを感じる。

楽曲のイノセンスとメンバーの純粋性が合わさって、人の心に突き刺さる素晴らしい芸術が産み出されているのだろう。と、自分に酔って中二的アホ丸出しの文を書いてしまうくらいに真っ直ぐで素晴らしいグループだ。まぶしい。

Maison book girl

最初は元BiSのコショージメグミが参加しているグループという事で聴いてみたのだが、あまりに突き抜けた楽曲に衝撃を受けた。スティーブ・ライヒなどで知られるミニマルミュージックをアイドルソングに取り入れるなんて思いもしなかったからだ。

昔バイトしていたレコードショップで先輩にスティーブ・ライヒを教えてもらって以来、数ヶ月ごとに思い出したようにミニマルミュージックを聴いていた。反復する中で微妙なズレを用いて展開していく楽曲の気持ち良さを知り、好きなジャンルの音楽だった。

Maison book girlも特別キャッチーなメロディを歌っているわけじゃない。反復する変拍子のリズムに乗せて、あくまで楽曲の一部として歌がある。

更に魅力的だったのがYoutubeで観た彼女達のライブだった。暗くシンプルなステージ場で歌うミニマルな衣装のアイドル。音の細かい部分に合わせて手足を曲げたりする振り付け。全部がミニマル。4人という人数が完璧に感じた。アイドルとも勿論バンドとも違う演劇に近い世界観。

先日、1時間30分にも及ぶライブ映像がYoutubeに公開されていた。背景に映像を映しながら相変わらず暗いステージで歌う彼女達はめちゃくちゃに格好良かった。

今回、この文章を書いてみて結局、自分の中ではアイドルだから好き・バンドだから好きという事では無く単純に格好いい、感動を与えられるものが好きなんだという事を再確認した。

ここで取り上げた5組はどのグループもそれぞれが個性的で、どれもが人に感動を与えるパワーを持っている。一番大切なのは、全員が全身全霊で取り組んでいるのが見えてくる部分だと思う。

気付いたら、このブログを始めて以来の最長の記事になっていた。そのくらい全身全霊で書いた自分に感動。

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