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MEZZO”の新曲「カレイドスコープ」好きな所をひたすら書き出す

kaleidoscope

姿変え麗しく踊り出す万華鏡
それはまるで偶然の出会いも運命と伝えるように

新たなスタイルとなったMEZZO”の新曲「カレイドスコープ」は「妖万華鏡 空虚咎送り」の主題歌として発表された。「Forever Note」のメジャー感とは一味違うエッジの効いたバンドサウンドを聴かせてくれるこの曲に、僕は心を奪われてしまった。10代の頃からバンドというものが大好きだった僕にとって、この曲は聴けば聴くほどツボにはまるポイントが沢山ある。そこで、個人的な解釈でこの曲の好きな点を挙げてみることにした。なんて自己満足。

リフで突き切る硬派さと肉体的ビート感

「カレイドスコープ」で最も印象的なのはギターとベースがユニゾンするリフだろう。イントロ〜Aメロと繰り返すリフが楽曲の基盤になり曲全体のバンドらしさを生み出している。一聴しただけで耳に残り「格好いい!」と心の中に住まうる10代の僕が狂喜乱舞。とりあえずベースを引っ張り出してきて耳コピした。

結局、僕はインパクトのあるリフをガツガツ聴かせる曲が好きなようだ。これぞロックンロールじゃい!というよく分からない語尾になるくらい興奮する。The Who「My Generation」Rage Against The Machine「Guerilla Radio」The White Stripes「Seven Nation Army」Thee Michelle Gun Elephant「スモーキン・ビリー」など挙げればキリがないが、どの曲にも共通しているのは、聴いていると体の底から謎のエネルギーが湧いてきて盛り上がる点だ。

人類がまだ猿人の頃からDNAに刻まれていた原始的な何かが刺激されるのだろう。きっと。絶対。メイビー。「カレイドスコープ」のリフにもそんな効果があり、この曲を聴いている時、気づけば僕は首を振っている。最近は慢性的に首が痛い。

また、これもイントロ〜Aメロで表現されている部分だが、強く裏拍にハイハットを入れることで日本の祭り的なノリが出る。それによって脳内から“祭りアドレナリン”が分泌されて非常にアッパーな気分になり、思わず体を揺らしたくなる。そんな肉体的ビート感がとても心地よい。青春期にナンバーガールにガツンとやられた身としてはとてもじゃないが抗うことなどできない。

見事な曲展開のバランス

Aメロまでの迫力・緊張感のある展開から、Bメロで落ち着かせる緩急のつけ方。そこからのサビでの爆発的な開放感が気持ち良い。シンコペーションしたリズムのスピード感と、幅広い音域をうねるように躍動するベースが生み出すグルーブの格好よさ。要所要所で細かくカッティングを入れるギターにもしびれる。

2番のAメロでは一転して音数が減り、ボーカルと美しいピアノの旋律が中心になるので、改めてこの曲のメロディの良さに気づかされる。ただスピード感で押し通すだけでなく、曲全体で強弱がしっかりと作られているので全く飽きない。

見事に練られた構成の中でも、特筆すべきは2番のサビが終わってからの展開だろう。ポストパンク・USエモを思い出させるようなギター・ベース・ドラムのシンプルな変拍子のアンサンブル。好きだ。ここのパートに限らず、曲全体にどことなく漂うテクニカル志向のUSエモなアトモスフィア。個人的に昔好きだったバンドDamieraを思い出さずにはいられない。

妖万華鏡の主題歌ということもあって和のイメージが強いと思われがちな曲だが、僕は極端に和風だとは思わなかった。ストイックなバンドサウンドが下敷きにあり、その上をエッセンスとして和の要素が包んでいる印象だ。逆にそのくらいのバランスだからこそMEZZO”の今のバンドサウンドに対する覚悟が伝わり胸が熱くなる。

IDOLiSH7とMEZZO”

MEZZO”の2人はIDOLiSH7のメンバーでもある。IDOLiSH7はデビューから爽やかさやフレッシュさが売りのグループとして見られていた。だが、いつまでも明るく元気な面だけを歌っているわけにはいかない。彼らも成長を続け、その時々の心情に合った歌がある。「Sakura Message」や「ハツコイリズム」のようにしっとりと聴かせる曲もあるし、今後は更に様々な面を見せていくことになるだろう。

そんな時に、これまで切ないバラードやラブソングを歌っていたMEZZO”の立ち位置はどうなるのか。彼ら二人の最高に素晴らしいハーモニーでバラードを聴きたい気持ちは勿論ある。未だに「雨」や「月明かりイルミネイト」を聴くとパブロフの犬のように無条件に涙が滲んでくる。だけど、IDOLiSH7とMEZZO”という各グループの音楽性が近づきすぎるのは勿体無い気がする。

だからこそ、壮五の覚悟によってMEZZO”が今のスタイルになったのは必然だったのだろう。考えてみたら環のボーカルは、今の彼らのサウンドに驚くほどはまっている。次回のライブでは、MEZZO”だけでも良いので、是非バンドセットで見てみたいと期待するのは、僕だけではないだろう。

壮五の音楽好きな面は最初から描かれていたが、「Maybe」で彼が好きだったテイストの曲を歌い、次は自身が作曲した「Monologue Note」で壮五の方向性を確信させる。そういった変化をグラデーションのように緩やかに丁寧に描くことで、今のMEZZO”のサウンドを我々は自然に受け入れられる。相変わらず恐るべきはアイドリッシュセブン。

姿を変えて踊り出したMEZZO”。「カレイドスコープ」での二人の歌声を聴くと、彼らの出会いも新しい音楽性も、偶然などではなく最初から決められていた運命だと思わざるを得ない。

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