ŹOOĻの「ZONE OF OVERLAP」が格好良すぎて僕はどうすれば良いのでしょうか。

zone of overlap

アイドリッシュセブンは一体どれだけ我々を楽しませてくれれば気がすむのだろうか。そして、棗巳波は天才か?

2019年5月、アイドリッシュセブン第4部の8章と9章が公開された。なかなか明かされなかったナギの過去エピソードが思っていた以上にしんどくて苦しまされる一方で、ŹOOĻがまるでジャンプ漫画のような熱い盛り上がりを見せてくれたり、これまでの更新に輪をかけて感情を四方八方にぶん回された気分だった。

そしてストーリー更新といえば新曲の追加だ。しかも今回は個人的にとても楽しみにしていたŹOOĻ。ストーリーの盛り上がりもあって、インストを聴いた時点で心の中で「うおー!」と叫んでいた。というか実際に声が出て膝を何度もはたいていた。

ヘッドホンで聴いてみると新曲の良さがより伝わる。低音をしっかりと活かしてミックスされた音が格好良く、アプリ内でこれだけの音質なので、実際に音源として出るのが本当に楽しみだ。アプリよりも配信、配信よりもCD、むしろ個人的にはアナログで発売してほしいと思っている。切望している。プレス代、出しましょうか?

コンポーザー棗巳波の恐るべき才能

IDOLiSH7、TRIGGER、Re:vale、ŹOOĻと4つのグループはそれぞれ全く別の音楽性を持っている。フレッシュで明るいIDOLiSH7、クールでハイブランドのようなイメージのTRIGGER、豊かなサウンドメイクでコアな音楽ファンからお茶の間まで幅広い支持を得ているRe:vale。そんな中でもŹOOĻの魅力は、ラップを取り入れたヘビーなサウンドだろう。

ŹOOĻと他の3グループの音楽性で決定的に違うポイントは、海外の音楽シーンからの影響ではないのだろうかと個人的には思っている。桜春樹も千も作曲家である前に音楽ファンであるだろうから、当然、世界中の音楽を聴いているだろう。彼らは海外からの影響を受けつつも、それらのエッセンスをすくい上げて、J-POPとして曲を完成させている。

一方で棗巳波はもっとストレートに、海外のリアルタイムな音楽シーンから受けた影響を活かしている。数年前から海外、特にアメリカのポップミュージックシーンの中心はラップミュージック、ヒップホップになっている。中でもトラップというアトランタ発祥のヘビーなサウンドが特徴のラップミュージックの影響は、ビルボードチャートに入るアーティストのほとんどが受けていると言っても過言では無いだろう。

棗巳波の作るŹOOĻのサウンドにもトラップからの影響が大きく現れている。デビュー曲の「Poisonous Gangster」のズンと響く重低音や細かく刻むハイハットなどはモロにそのままだし(そもそもタイトルがギャングスター)、今回の「ZONE OF OVERLAP」も低音を強調したトラップと90年代のオルタナティブロックを融合したような無茶苦茶にカッコ良いサウンドだった。

海外の音楽シーンのトレンドをわかりやすく取り入れることで、洋楽リスナーには分かってるじゃん!という印象を、普段は邦楽を中心に聴いているリスナーには新鮮な感覚を与えることができる。だからこそ、デビュー曲の「Poisonous Gangster」は衝撃的な作品として受け入れられたのではないだろか。

自身のリスナーとしての音楽的趣向をそのまま表現するのは棗巳波の音楽に対するピュアで誠実な一面なのかもしれない。逆に国内シーンにおける受けとめられ方までも計算していたのだとすると、自分達の印象をちゃんと意識することができる優秀なプロデューサー気質でもあるのだろう。

どちらにしても棗巳波、恐るべしである。

ZONE OF OVERLAPのサウンド

「ZONE OF OVERLAP」の魅力はただ海外の音楽を参照にしているだけでは無い。サウンドの軸になっているのは上記したようにトラップだ。トラップは格好良い。思わず体を揺らしたくなるようなビート感に3連などの複雑なフロウが乗るのは、ラップミュージックとしてとても心地よい。

だが、ŹOOĻはあくまでもアイドルだ。ラッパーでは無い。ゴリゴリのトラップサウンドで世の中に衝撃を与えることは出来るだろうが、現実的に考えてチャートに入るとは考えづらい。そこで活きてくるのが、棗巳波のメロディセンスだ。

「ZONE OF OVERLAP」はAメロ、Bメロ、サビと分けるよりも、ヴァース、ブリッジ、コーラスと海外で使われるようなワードで曲の構造を分けた方が言葉としてしっくりくる。

いきなりコーラスから始まるこの曲はヴァースでそれぞれのメンバーが、自身の個性を活かしたラップを次から次に繰り出してくる。それだけで心を鷲掴まれるのだが、それをガラリと塗り替えるブリッジが圧巻だ。

インパクト、格好良さ共に最上レベルの「Just maybe」という亥清悠の歌い出しから始まるブリッジパートは、聴く者に少し切なさを感じさせるコード進行でコーラスに向かってどんどんと上昇し続けていく。

甘い声の中にも覚悟と力強さを感じさせる亥清悠の歌は、いつものダルそうな雰囲気でなく真剣に心から声を振り絞る御堂虎於の歌に引き継がれ、ŹOOĻの中で最も情熱的で熱い男、狗丸トウマの魂の咆哮へと繋がる。狗丸トウマの叫びを聴きながら僕は感涙した。

棗巳波の作曲の才能は、これだけのクオリティの曲を生み出した事で本物だと証明されただろう。トラップサウンドとグゥの音も出ない程に完璧な展開とメロディ、このレベルの曲があるからこそ、世の中でのŹOOĻの受け入れられ方にも説得力がある。

余談なのだが、アイドリッシュセブンの中でも個人的に特に好きなボーカリストが何人かいる。Road To Infinityでも抜群の安定感を持っていた四葉環のエッジの効いたボーカルスタイル、力強さと少年性を含んだ天性の声を持つ百の圧倒的な声、そして低いパートからハイトーンまでをカバーする八乙女楽の最高な歌、などだ。

だが今は、もしかしたら亥清悠のボーカルが1番好きかもしれない。九条鷹匡が目をつけたのにも納得な彼の歌声に心が震える。

期待を超えること

アイドリッシュセブン第4部が始まって新曲が4曲追加されたのだが、どの曲もクオリティがこれまで以上に高くなっている気がする。今回の「ZONE OF OVERLAP」は勿論、先月記事を書いた「Monologue Note」、ドラマの主題歌として作られた最高なポップソング「解決ミステリー」、高校サッカーの主題歌らしく青臭さと普遍的なメロディが魅力の「永遠性理論」。

これまでもアイドリッシュセブンの楽曲の良さについては、散々ブログに書いてきたのだが、第4部に入ってからは特に凄いレベルに達している。

ここまで細部まで作り込まなくても雰囲気さえ出せていれば、ゲーム内の曲として普通は成立してしまうのではないだろうか。アイドリッシュセブンの楽曲はどの曲も、聴けば聴くほど音楽的な発見があるので聴いていて本当に楽しい。

それはサウンド面だけに限らず、今回の楽曲タイトル「ZONE OF OVERLAP」の頭文字を取っていくと「ŹOOĻ」となるような、タイトルやネーミングへの細かなこだわりにも表れている。

自分の好きなミュージシャンの新曲がリリースされる時に、どんな曲なんだろうと楽しみに待つような経験は誰にでもあるだろう。その待っている時間が長ければ長いほど、想像上の曲はどんどんと素晴らしい名曲になっていき、実際の新曲を聴いた時に「あ、こういう感じ?」となってしまうことはないだろうか。僕はある。結構ある。

ŹOOĻの過去の2曲、どちらも好きだったこともあって、僕は新曲を物凄く楽しみにしていた。前のシングル発売から期間が空いているので自分の中での期待値はかなりの高さになっていた。しかし「ZONE OF OVERLAP」はその期待値を超えてきた。

こんな経験は、実はそんなにたくさん出来るものではなかったりする。この体験が出来たことをアイドリッシュセブンに感謝したい。そしてこの感動を誰かと分かち合いたい。願わくば、レッドヒル・フェスティバルにいた音楽ライターの方とŹOOĻについて熱く語り合って硬い握手を交わしたい。

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