感動の名曲。逢坂壮五とMonologue Note

Monologue Note

これはアイドリッシュセブン史上、最も情熱的で感動的な楽曲なのではないだろうか。

アイドリッシュセブンのストーリー第4部は毎月公開され現在は7章まで物語を読み進めることができる。今のところ毎月1曲づつ新曲が追加になっていくペースなので、次はどんな楽曲だろうと毎回とても楽しみにしている。

2019年4月に更新されたエピソードで追加になった楽曲は逢坂壮五のソロ曲「Monologue Note」だった。その前の新曲がフラウェイの「解決ミステリー」(これも素晴らしい楽曲)だったので次はMEZZO”かなと思っていたら見事に裏切られた。まさかここでソロ曲が入るとは。しかもこの「Monologue Note」という楽曲が実に素晴らしいのだ。

Monologue Noteの音楽性

壮五が初めて作曲に挑戦して生み出したこの楽曲には、彼がこれまでに聴いてきた様々な音楽からの影響が窺える。作中でも描かれているように、アイドリッシュセブンというグループ内で最も音楽好きな壮五は、基本的にはジャンルを問わずに様々な楽曲を聴くリスナーだ。中でも彼が好きなものはハードな曲調のものが多いとこれまでのストーリーでも印象付けられてきた。

「Monologue Note」の高速なテンポはハードコアからの影響だろう。特に全編にわたって叩きつけるように鳴らされるドラムには強烈なビート感が宿っており、楽曲の推進力を高めてどんどんと勢いで引っ張っていく。

そのドラムの上をメロディアスに流れるベースは楽曲に激しさだけでなく深みを与えている。どこか切なさを感じさせるベースライン。これには壮五がラジオで紹介していたハードコアバンド「ベイビービア」からの影響がしっかりと生かされているに違いない。彼の好きなものがそのまま取り入れられている。

歪ませたツインギターのリフは絡み合い、ブレイク時の2本のハモりからはメタルの影響を感じられる。サビの間ずっと細かなフレーズを奏で続けている辺りは00年代以降のエモやマスロックからの参照だろうか。

イントロのギターフレーズ、そしてサビ途中のピアノの繊細な調べによってこの楽曲では激しさだけでなく、心を掻きむしられるような切なさや焦燥感が表現されている。それらは結果的にこの曲を、90年代のビジュアル系バンドが生み出していた曲たちと、とても近い位置に運んで行ったようにも感じる。

壮五が好きなものを詰め込んだ最初の音楽

この曲は壮五が初めて生み出した曲だ。おそらくパソコンで作られているこの楽曲に使用されたソフトはLogic Pro XやCubase、もしくはMacに付属しているGarage Bandかもしれない。何にしても壮五は1曲を作りきった。1曲を最後まで作り上げるという事がどれだけ大変か。

この楽曲には彼の好きなものへの情熱が詰まっている。荒々しいギター、メロディアスに奏でるベース、激しさをむき出しにしたようなドラム、音の端々から音楽への情熱と愛情、そして自分の好きな音楽家への憧れが聴こえてくる。これこそがこの曲の素晴らしさの本質だろう。普段は器用な彼が拙いながらも必死に表現した感情が伝わってくるからこそ僕は感動する。

千が言っていたように初めからMEZZO”の劣化コピーみたいな曲を作るんだったら全く意味はない。これは仕事で作っているわけでは無いのだ。壮五が自分の意志で作曲をしたいと決めて作った楽曲だ。これは壮五にしか生み出せない楽曲だし、壮五が作るからこそ意味のある楽曲だ。

彼がここまで自分の好きを詰め込んだ楽曲を作った事が大切だと思う。最初に徹底的に好きなもので作り切るからこそ力加減がわかるようになる。今後、作曲していく中で激しさとキャッチーさを組み合わせる事も出来るようになるはずだ。例えば「PARTY TIME TOGETHER」のような。

僕は最初に「Monologue Note」を聴いた時に正直、爆笑してしまった。彼の音楽的な趣味から何となくの予想はしていたのだが、想像以上に振り切れた楽曲だった事に大笑いしながらライブをプレイした。

しかし、今ではこの「Monologue Note」という楽曲を聴けば聴くほど感動が押し寄せてくるようになった。あまりにも壮五の思いが詰まっているから。僕は自分を恥じた。好きなものに対して真っ直ぐな情熱を注いでいるこの楽曲を聴いて笑ってしまった自分が恥ずかしかった。最近はこの曲を聴いていると涙が出そうになる。

アイドリッシュセブンのクオリティ

正直「Monologue Note」という楽曲は、作中の他の楽曲と比べると未熟で劣っていると感じる部分が多々ある。各楽器の音色だったり、ドラムアレンジ、ギターフレーズなど、挙げればいくつも出てくる。しかし、それは当たり前の事だ。これは壮五が初めて作った曲なのだから。

逆に言えば、そこにまたアイドリッシュセブンの凄さを感じてしまった。他の楽曲に比べ拙さがある、でも全く素人臭くてダメなわけでは無い。そのさじ加減が実に絶妙なのだ。旧Re:valeの「未完成な僕ら」を聴いた時にも感じたのだが、時代性や作曲者の技量が反映されており、曲に対しての説得力が増す。

そして壮五のビジュアルが良い。こういった激しい音楽が好きで作曲をする人物の場合、もっと分かりやすい見た目にするのが一般的だろう。でも壮五は髪の毛を立てていないし、ロングでも無い。革ジャンだって着ていない。外見は誰よりも常識的で、真面目な印象だ(そして事実、真面目だ)。そんな彼が作る曲だからこそ、僕は「Monologue Note」にリアリティを感じる。

最後に

壮五はFSCグループという巨大企業の御曹司として産まれ育ってきた。後継者として帝王学を学び、人の上に立つ人間になるように教育されてきたのだろう。それはとても息苦しかったに違いないと容易に想像できる。だからこそ、大好きだった叔父をきっかけにして音楽にのめり込んだ。そこにある自由を求めて。

無意識に僕は壮五のことを自分に重ねてしまっていた所がある(憧れているのは八乙女楽)。相手のことを気にして考えすぎてしまう所、極端に気を使ってしまう所、自分のことを後回しにしてしまう所など、身に覚えがありすぎる。だからこそ彼が自分の意志で生み出したこの曲に、彼の好きなものが詰まっていた事がとても嬉しかった。

壮五は作曲家として素晴らしいスタートを切ったと個人的には思う。このまま自分の好きな音楽をどんどん生み出し続けて欲しい。それこそが壮五自身の音楽だからだ。さぁ、掻き鳴らせ永遠に。

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