Re:valeのアルバム「Re:al Axis」が名盤である理由

Re:vale_Re:al Axis

IDOLiSH7、TRIGGERという二つのグループに続いて絶対的王者であるRe:valeのアルバムが満を辞して発売された。これまでシングルや配信限定でリリースされてきた曲たちに加え、新曲も追加された今作を待ちに待ったファンも多いだろう(当然、僕もその内の一人だ)

2018年の8月に放送されたNEXT Re:valeにおいて収録曲数が8曲と発表された時には正直コンパクトだなと感じた。しかし、実際にアルバムを聴いてみるとRe:valeならではのバラエティに富んだ楽曲群や1曲1曲の密度の高さからして十分なボリュームだった。むしろこれ以上はRe:valeの過剰摂取になる可能性があり危険だ。

そんな1曲1曲が魅力的なRe:valeの楽曲の個人的な感想を書いてみることにした。既に感想を書いている楽曲もあるが、そのあたりは新たに気づいた点や再認識した魅力について追記してみよう。何度聴いても新たな魅力を発見する事ができるのはそれらが名曲である証拠だろう。

NO DOUBT

アルバムのオープニングを飾るのは今のRe:valeを象徴する名曲「NO DOUBT」ミディアムテンポでスリリングなシンセサウンドが印象的なこの曲は千主演の映画「Mission」の世界観にぴったりだ。

基本的には四つ打ちを基盤にしたリズムトラックだが曲の展開によってハイハットを裏打ちにしたり、細かく刻んだりする事でスピード感をコントロールし1曲を通してのドラマが作り上げられている。実に見事な構成だと感動した。

また、ボーカルのミックスにもエッジが効いている。全編を通してピッチを変えて何重にも重ねられたボーカルは非日常性・非現実的なムードを生み出す。そして最後のサビの入りでは左チャンネルを千、右チャンネルを百と分離させる事で独特な聴き心地を得られる。これは二人組ならではのミックスではないだろうか。

最初は映画のテーマと自分達の現状について描いた歌詞なのかと思っていたのだが、「mission」での共演者であり後輩であるIDOLiSH7の二階堂大和へ向けられた楽曲だと解釈した時に最も合点がいった。千の優しさが詰まった名曲。

激情

Re:valeの音楽性の幅広さを改めて再認識させられた歌謡曲的なロックチューン。曲の始まりからエンディングまでの展開が見事に練り上げられており、もはや職人芸とでも言いたくなる恐るべき完成度。アルバム前半を盛り上げるのにぴったりな勢いのある曲だ。

Re:valeの楽曲としては珍しく楽器の生っぽさが際立っていて最初は少しおや?と思ったが、圧倒的な演奏の上手さと安定感にそんな事は微塵も気にならなくなった。音の抜け感や、程よく空間を感じられるバランスなど、ミックスがアルバムの中でも抜群に心地良く、聴けば聴くほど上質さを感じる。

歌の面でもキャッチーなメロディ、サビでのシンコペーション気味になる部分や、Bメロでの二人の掛け合いなど、リスナーが気持ちよく感じるツボが徹底的に押さえられており一曲を通して全く飽きずに聴き切ることができる。

これまではもっと先進的な音を鳴らすことが多かったRe:valeが、ここまでガラっと印象の違う曲を出してきた事には驚いた。しかしそれはRe:valeが特定のジャンルの音楽に固執している訳では無く、音楽というもの全てを愛している証拠だろう。

Dis one.

ゼロのカバーでもあるこの楽曲はRe:vale史上、最もヘビーなサウンドを聴く事ができる。思い切りディストーションをかけたギターを楽しそうに弾く千の姿が目に浮かんでくるようだ。

恐らく原曲から大きく変えているであろうギターを前面に押し出しているアレンジには、伝説のアイドルであるゼロへの尊敬の念が込められているのではないだろうか。

ゼロはアイドルとして生きて伝説になった。アイドルの象徴でもあるゼロの楽曲をカバーする時に中途半端なアレンジをする事はできない。原曲の圧倒的パワーと勝負できるのは千自身のルーツでもあるバンドサウンドだったのだろう。だからこそ極端なまでにヘビーなギターを主軸にカバーする事で過去の伝説「Dis one.」を壊し、自分達の「新しいThis one.」を作り出したのではと想像する。

サウンド面では非常にハードな仕上がりになった「Dis one.」だが、激しさ一辺倒にならないのは元々の楽曲が持つ優れたメロディと二人の声質だろう。特に百の甘い中にも一本芯の通ったボーカルがあるからこそRe:valeの「Dis one.」は完成する。

太陽のEsperanza

スパニッシュギターやパーカッションなどラテンを感じさせる要素が盛り込まれたこの曲はRe:valeの作品の中でも特に情熱的な楽曲だ。これまで他の楽曲で培われてきたモダンなビート感にラテンのエッセンスをミックスさせるのは流石のセンス。

歌詞の内容が闇に対して正面から対峙する意思を宣言しているものだからこそ、サウンド面では逆に情熱的で華やかな誰もが楽しめる曲に仕上げているのではないだろうか。

皮肉だったり痛烈なメッセージをゴージャスなサウンドでエンターテインメントに昇華させる技量。それはきっと彼らがこれまでに様々な壁を乗り越えてきたからこそ身につける事ができた力なのではないだろうか。

そして、それらの経験と力があるからこそ、この曲は当時苦境に立たされていた後輩のTRIGGERをフックアップする形で初披露された。その大胆な戦略、粋な演出は彼らの人間性やエンターテイナーとしての実力を十分すぎるほど証明している。

TO MY DEAREST

トップアイドルによる本気のクリスマスソング。ゆったりとしたテンポに乗せて2人が優しく歌うロマンチックなバラードはRe:valeのまた新しい面を見せてくれた。

1番でしっとりと聴かせる流れが2番サビからぐっと盛り上がる。テンポを変える事なくベースやドラムのリズムパートで変化を生み出し、次々にドラマを展開させていく楽曲構成が実に見事。

歌い出しの歌詞「今年は仕事 早く上がって」の表現がとても好きだ。いかにも歌詞的な言葉では無く「仕事を上がる」というごく日常的に使われる言葉選びに親近感が湧く。どこかの誰かでは無く聴いている我々の曲だと感じさせられ、とてもパーソナルな印象で優しい気持ちになる。

クリスマスソングの定番のサウンドに隠れてトラップ的なハイハットの刻みが入っているのもRe:valeのミュージシャンである側面を垣間見せつけられた気分だ。マライア・キャリーの「All I Want For Christmas Is You」やワム!の「Last Christmas」と並べても違和感の無いクリスマスソングの新たな定番。

星屑マジック

2018年11月に公開された「星巡りの観測者」のテーマ曲として作られたこの曲は、アルバムの中でも特に涙腺を刺激してくる曲ではないだろうか。静かに始まる歌はBメロで徐々に盛り上がりを見せ、開放感のあるサビのメロディに涙を誘われる。もちろん脳裏には劇中のシーンが繰り返し映し出されている状態だ。

全体的にRe:valeの曲はサウンド面や楽曲のアレンジなど音楽としての魅力がたくさん詰まっているところがある。しかし、この「星屑マジック」ではアレンジを極力シンプルにする事で千が本来持っているメロディセンスや楽曲の良さを活かしている様に感じられる。

オープニングから哀愁漂うアコースティックギターのフレーズで始まり、シンプルなドラムとストリングスなどで曲は展開されていく。ブラックなノリのベースとボンゴのリズムでグルーヴが生まれ次第に曲は熱を帯びる。

「星屑マジック」というワードから連想させられる少し可愛げのある曲ではなく、哀愁とロマンが詰まった美しい楽曲。旅人たちがふと夜空を見上げた時に気づく幾千の星の輝き。そんな魔法の様な輝きをそのまま音で表現した大名曲だ。

奇跡

もはやRe:valeサウンドとでも言いたくなる様なデジタルビートとディストーションギターが鳴り響くハイスピードチューン。曲について何かを考えるよりも先に「カッコイイ!」と感情がまず動き出すこの曲は、2018年7月に行われたライブ「Road To Infinity」でも会場を大いに沸かせた。

個人的にはそのライブで初めてフルコーラスを聴いたのだが、見事なまでの緩急の付け方に身震いした。サビに向かうドラムロールには気持ちを高揚させられ、音数を減らすころではしっかりと減らしドラマを盛り上げる。特に2番サビ後の静かになるパートに感動した。

ソリッドでスリリングなシンセと、激しく歪ませたギター、二人の甘い声質を活かしたメロディを融合させたRe:valeならではのサウンドはこの後「No Doubt」にて一つの完成形に到達する。そこに向かうために絶対的に不可欠だったのがスピーディでエッジの効いたこの「奇跡」という曲だろう。

SILVER SKY

切ないピアノのフレーズとハードなギターが絡み合う、一発でRe:valeのカラーが分かる彼らの代表曲。疾走する四つ打ちサウンドと哀愁のあるメロディの組み合わせは所謂アイドル然とした楽曲とは全く違い、彼らがアーティストである事を証明した。

「奇跡」と同じ様に、この曲も一聴しただけで何も考えずに「カッコイイ!」と心が動かされる曲だ。その様に人の心を動かすのには、知識やテクニック以上に作り手側の情熱が必要なのだと思う。歌っているRe:vale自身が曲を格好良いと思っているからこそ、我々も瞬発的に「カッコイイ!」と心を震わされる。

この曲を初めて聴いた時に他のアイドルグループと大きな違いを感じた点がある。IDOLiSH7は希望やフレッシュさを表現している、TRIGGERは彼らならではの世界観を構築している。そしてRe:valeは彼ら自身の事や気持ちを歌っている。もちろん他のグループの曲にもそういう面も含まれているのだが、Re:valeは自分たちで作詞を行なっている事もあり、よりエモーショナルに歌が響いてくる。

そこにしっかりとした作家性があるからこそ、Re:valeはただのアイドルグループではなく絶対王者としてブラックオアホワイトの総合優勝を勝ち取る事ができるのだろう。

Re:vale_Re:al Axis

個人的に以前から考えていた事だが、名盤と呼ばれる作品には傾向の様なものがあると思う。

アルバムという形態の作品を極端に2つに分けると「統一感のある作品」と「バラエティに富んだ作品」に分けることができる。前者は一つのテーマや音楽性に沿ってアルバム1枚がしっかりと作り込まれた作品。特にコンセプトアルバムの様なものはこのパターンの最たるものだろう。そして後者はアーティストの才能を余すことなく詰め込んだ作品。特にそのアーティストの音楽への造詣が深ければ深いほど、それぞれの曲のカラーはあらゆる方向へ拡散していく。

名盤として後世へ残りやすいのは圧倒的に前者だと思う。後者は一曲一曲の完成度は高いものの統一感の無さから良盤として捉えられる事の方が多いと感じる。

「バラエティに富んだ作品」の弱点としては曲調のバラツキと共にアルバム全体が長くなりがちな点にもある。これはアーティスト自身が自分の持っているものを全て詰め込みたいという気持ちからくるものだろう。しかしそれはリスナーを飽きさせてしまう場合もある。

今回のRe:valeのアルバム「Re:al Axis」は間違いなく後者の「バラエティに富んだ作品」だ。だが収録曲数が8曲とコンパクトにまとめられた事で、アルバムを通して聴いても全く飽きがこない。それどころか、最後の曲が終わるとまたすぐに最初から再生したくなる丁度良いサイズ感になっている。

このリピートしたくなるという部分がこの作品の重要な点だ。千と百それぞれをイメージした音楽記号は反復記号になっておりリピートを表している。「Re:al Axis」は何度でも繰り返し聴きやすい作りになっている。これこそがこの作品の本質なのではないだろうか。アルバム最後の楽曲「SILVER SKY」から1曲目「NO DOUBT」への繋がりのなんと自然なことか。

また、アルバムタイトルに Axis(軸)と入れられた事からも分かる様に、このアルバムは元々Re:valeの持つ音楽性の様々な面をあらゆる軸度から表していこうと言うテーマを持ったコンセプトアルバムなのだと僕は捉えている。

彼らの音楽性の幅広さが余す事なく詰め込まれ、それぞれの曲の完成度も高くトータルでのボリュームも計算されている。Re:valeの表現を様々な角度から聴かせてくれるこのアルバムは間違いなく名盤だ。これだけ色々な面を見せてくれた彼らが、今後どんな楽曲を作っていくのかがこれからも楽しみでしょうがない。

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