検索ボタン

僕が旅に出る理由 in ハイラル王国

ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド

ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルドが面白い。

世の中的には何故今?な感じかもしれないが個人的には今まさに夢中で楽しんでいる。何故か?それは先日、義弟からWiiUとブレスオブザワイルドを貰ったからだ。義弟はNintendo Switchを買ったらしく、もうWiiUを使う事はないと言って譲ってくれた。なんて優しいのだろう。

それまで家にある最新ゲーム機はPlaystation2だった。10代の頃はゲームが大好きだったが成人してから、特に上京してからは殆どテレビゲームをする事はなかった。

Playstation2でゲーム体験が止まっていた僕にとって、ブレスオブザワイルドを初めてプレイした時の衝撃といったらなかった。最初の洞窟から出て眼前に広がる景色。あんな遠くにまで自由に行けるのか。どこまででも行ける。これは旅だと感じた。

僕は昔から旅に憧れを持ってる。世界は広い。色々な人間がいる。自分の生活圏なんて地球規模で考えると本当に狭い。そう思ってしまうと、ここではないどこかへ行きたくなる。

などと言いながら実はバックパッキングの1つもやったことがない。ただのバーチャル旅人だ。

ではバーチャル旅人はどうやって旅に出るのか。それは主に写真、映画、動画、Googleのストリートビュー、そして本だ。写真集やYoutube、映画で世界の風景を眺めたり、ストリートビューで適当な国の適当な街を歩き回る。そして旅人たちの本を読み、まるで自分自身が旅人になったかのように追体験をする。

中でも個人的に大好きなのが、写真家であり旅人の石川直樹さんの著書だ。極地の美しさや世界で暮らす人々を捉えた写真を眺めるのも好きなのだが、特に心に響くのは石川さんの文章だ。冷静で俯瞰的な目線を持って自身と風景を切り取った描写。それはとても詩的で美しい。どの本も世界の風景を想像させて、その場にいるかのように錯覚をさせてくれる。

極北へ

そんな頭の中でばかり旅をしている僕が、夢中になっているのがゼルダの舞台であるハイラル王国だ。土地によって変わる景色の美しさに感動し、朝日が昇ることに安心し、悪天候後の晴れた空に喜びを得る。この王国の中で僕はどこにでも行ける。野を駆け、山を登り、海を渡り、知らない世界を旅する事ができる。2本の足と2本の腕さえあれば何だって出来る。自由なのだ。

ブレスオブザワイルドは子供の頃に夢中になったテレビゲームの楽しさをまた与えてくれた。それと同時にもっと大きなものも思い出させてくれた。近所の山に登ってみたり、カブトムシを捕まえたくて森に入ったり、自転車で海まで走ったり、よく分からない木の棒を拾ったり、謎の花の蜜を吸ってみたり。ゲーム体験だけではない、実体験として子供の頃にした冒険も思い出す事ができた。

今になって思えば家の周りをうろついているだけだったんだと思う。でも子供の頃にはドキドキしていたし、少しの恐怖心を伴った立派な冒険だった。あれは旅だった。あの時の気持ちを思い出したくて、僕はハイラル王国を駆け回っているのかもしれない。

そして画面の中を旅しているうちに、今度は自分が生きている世界を旅したくなる。日常や生活に追われて、いつの間にか薄らいでしまった冒険心が蘇る。本当は自分で分かっていた。バーチャル旅人でいたかった訳ではないと。僕は今だって旅をしたいし冒険をしたいんだ。

人生は自分のものだ。他の誰のものでもない。決めるのはいつだって自分自身。やりたい道に進めばいい。「子供の頃から憧れてたものになれなかったんなら大人のフリすんな」と甲本ヒロトは歌う。僕は大人のフリばかりしている。もっと自分の気持ちに素直になればいいんじゃないか。

と、僕は夜毎にテレビゲームをする理由を自分に与えているのだ。

LIFEのオススメ記事