スーパー個人的!2018年上半期ベストアルバム10

2018best_album

去年も書いたように上半期のベストアルバム・ベストソングをそれぞれ10点づつ書き出してみようと思った。サブスクリプションサービスをメインに聴いているので、相変わらず毎週の新譜リリースに追われている。10作品づつに絞るのもなかなか大変だった。しかし、これは幸福な事なので嬉しい悲鳴というやつ。

ところで、ベストという言葉を使うと音楽に対して良し悪しをつけていると勘違いしてしまう人もいるのかもしれない。この記事はあくまで個人的に好きだった作品を紹介したいだけなので「良い・悪い」ではなく「これ好き!」という気持ちだけで書いている。

そもそも音楽や芸術に関して「良い・悪い」なんかをつけられる訳がないのだ。「好き」はわかるが「嫌い」はわからない。どちらかと言うと「苦手」の方が個人的にはしっくりくる。「嫌い」なものは頭からの決めつけでなかなか受け入れられないかもしれないが、「苦手」なものは克服できるので後々「好き」になる事もある。そちらの方が幸福だと僕は思う。

などと書いているとまた長くなりそうなので、さくさくっと作品を挙げてくことにした。無駄に長くない方が幸福ですもの。

※本記事では基本的に敬称は略しています。

1. 国府達矢 / ロックブッダ

2018年前半で一番衝撃を受けた作品。昔から大好きな七尾旅人のブログやインタビューなどで度々名前が出てくることから存在を知り、ちゃんと聴きたいと恋い焦がれていた孤高のアーティスト国府達矢。過去の作品をYoutubeで少し聴いたことはあったもののフルのアルバムを聴くのは初めてだった。

結論から言うと本作は、僕が聴く前から持っていたイメージや期待を遥かに上回る音楽だった。ロックンロール・ファンク・ヒップホップ・民謡etc、ありとあらゆる音楽がごちゃごちゃに混ざりまくっているのに洗練されていてポップ。ただカオスなだけじゃなく、これだけ聴きやすい作品に仕上がっているのが恐ろしい。

こだわったと言うミックスも素晴らしらしく、ギターを筆頭に自由に動き回る音がとても心地よい。こんなに自由にギターと歌が遊び回れるのもskillkillsが演奏したリズムセクションの抜群の安定感があってこそだろう。めちゃくちゃ格好良い。

80年代のニューウェイブや00年代Vampire Weekend以降に、世界中の音楽的エッセンスやリズムがポップミュージックに取り入れられていた頃、日本から世界に放たれるべき作品はこの「ロックブッダ」だったのかもしれない。

2. HYUKOH / 24 : How to find true love and happiness

6曲入りのEP扱いになっているが、あまりに素晴らしい作品なのでアルバムとして入れさせていただいた。カニエの新作やPusha Tの作品も7曲入りでアルバムだったしいいや。そんな時代。

去年リリースされたアルバム「23」も大好きだったHYUKOHだが、新作は曲数の少なさもあり、更にまとまって聴きやすくなっている感じがした。バンドアンサンブルの格好よさは相変わらずな上にメロディセンスも抜群。特に「LOVE YA!」などはビートルズのカバー?と一瞬思ってしまうくらい美しい。

名曲「LOVE YA!」の次に入っているアルバム屈指のアッパーソング「Citizen Kane」も最高に格好良い。初期arctic monkeysを思い出させる単音リフとサビの合唱コーラス&倍速リズムなど、とにかく格好良いしか言葉が出てこない。

このくらいコンパクトな作品だと何度もリピートしてしまうが、6曲それぞれバラバラの曲調でバラエティに飛んでいるので飽きない。彼らの佇まいの格好よさもあり、日本も含めたアジアのバンドとしては理想的なグループかも。

3. Kanye West / ye

去年のベストアルバム記事にも書いたが、これまでヒップホップには殆ど触れずに生きてきた。なのでカニエの名前や作品は知っていてもガッツリ聴き込んできた訳ではないし、凄さもあまり分かってはいなかった(色々な言動で世の中をざわつかせる人という認識)

そんな僕でもこのコンパクトな大作には感動をした。HYUKOHのところでも書いたように、この作品はたった7曲で構成されている。にも関わらず、アルバム1枚を通して見事な流れが作られており、必要な要素だけを入れて作られたアルバムはこんなにも無駄なく完璧なのかと感じた。

音数が少なくシンプルなトラックが中心の楽曲群はアルバム後半に向かうにつれエモーションを増していく。5曲目「No Mistakes」で不意に入ってくるメロディアスなフレーズ「Make no mistake, girl, I still love you」でグッときているとあっという間に6曲目「Ghost Town」で涙。

そのまましっとりと聴かせる「Violent Crimes」でアルバムは幕を閉じる。僅か7曲24分で終わる作品でこんなに心を動かされることはなかった。素晴らしい名盤。

4. Snail Mail / Lush

2016年にでたEPも愛聴していたSnail Mailのファーストフルアルバム。パッとする感じではない女の子(失礼)がギターを弾きながら歌うインディミュージックという時点で個人的にかなりツボ。

決して熱唱する訳ではなく、あくまで淡々とギターを弾きながら自然体で歌っている中で唐突にエモーショナルになるとそれだけで涙腺をビシバシと刺激される。

EPではゆるいイラストだったジャケットもアルバムでは赤と青の強烈な色合いの写真をメインビジュアルにしていて格好良い。手書きのタイポグラフィは相変わらずなのでそれは譲れないところなのだろう。そんなローファイへのこだわり、嫌いじゃない。

5. Car Seat Headrest / Twin Fantasy

この作品で初めて存在を知ったアメリカのインディアーティストCar Seat Headrest。もともと宅録(言い方が古い)で曲を作ってBandcampで販売していたらしい。

先ほど書いたSnail Mailと同じく彼の作品もローファイなインディギターミュージックだ。どうやら僕はどうしてもこういった音楽が好きらしい。昔から楽器の上手い下手には興味がなく、音楽が持つ何故か感情を動かされる感覚が好きなのだ。

ギークなビジュアルのミュージシャンがギターをペケペケと弾きながらブツブツと歌えばそこにマジックは産まれる。僕はずっとこういった人達に憧れているのだと思う。

6. CHVRCHES / Love is Dead

これまでちゃんと聴いたことがなかったCHVRCHESをちゃんと聴いてみたらめちゃくちゃ好みだった。いわゆるエレクトロポップなサウンドは結局New Orderが究極と視野の狭いことを思っていた自分を罰したい。

なんだかんだで00年代のDelphicも大好きだったし、時代時代に優れたエレクトロポップは生まれている。個人的な感覚として昔からエレクトロサウンドを主軸にしたミュージシャンはメロディセンスが優れている気がする。

このアルバムにもことごとくグッドメロディな曲が入っており、次から次に素晴らしいポップスを聴かせてくれる。どんな時にでも聴きたくなるようなアルバムというのは本当に素晴らしい。まずは聴いてみること。それが一番大事。

7. Starchild & The New Romantic / Language

アップルミュージックのニューリリース欄でジャケットが気になり、なんとなく聴いてみたのが Starchild & The New Romantic だった。ジャケットもさることながらネーミングがスーパー最高。

「ジャケ買い」と同じで全然知らないミュージシャンを初めて聴くときには良い緊張感がある。このアルバムを初めて聴いた時、最初は大好きなKindnessを思わせるオシャレポップスかと思った。そのまま聴いてると2曲目で瞳孔が開きそうになった「プ、プ、プ、プリンスやないかい!」

個人的に一番好きな80年代のプリンスのスタイルを、アルバム通してド真面目にやられると全くもって抗えないという事を知った。

8. Shame / Songs of Praise

ここ1、2年はイギリスのギターバンド復活!と言われているが、まだそれを実感したことはなかった。THE1975やPale Wavesを始めとしたDirty Hit勢は純粋にギターバンドというよりもポップスとしての作品を産み出しているように見える(大好き)。

そんな中でこの男臭く粗暴な印象の(失礼)Shameを聴いた時に初めて「UKギターバンド復活」が見えた気がした。フラストレイションを爆発させたような怒りのエネルギーに満ちた音楽を久しぶりに聴き、血がたぎった。シンプルに彼らは格好良い。

ところで全く関係ないが「Shame」という単語を聞くとゲームオブスローンズの贖罪の道を歩くサーセイを思い出してつらい。

9. Sons of Kemet / Your Queen Is A Reptile

雑誌「ele-king」の別冊、Kamasi Washingtonを表紙にした「UKジャズの逆襲」特集で知ったグループ。表紙になっているKamasi Washingtonはもちろん最高なのだが(今年のコーチェラでのライブはMacの画面越しに興奮した)、アルバムのボリューム感が凄いので聴くのに覚悟を要する。

このSons of Kemetはアフロビートやレゲエを大きく取り入れたエモーショナルなジャズでとにかくエネルギッシュ。人力ポリリズムがとても気持ち良い。夏に聴いて更に暑苦しくなりたいアルバムナンバー1。

アルバムタイトルの「Your Queen Is A Reptile」に対して各曲タイトルは全て「My Queen Is ~」で統一されているのもコンセプチャルで面白い。

10. NO AGE / Snares Like A Haircut

ドラムボーカル&ギターの二人組バンドによる久しぶりのアルバムにして彼らの作品史上、最高にユーフォリックな名盤。

シンプルなリズムと激しく歪んだギターという基本的なスタイルは同じなのだが、効果的に鳴っているシンセサイザーとポジティブな歌メロによって不思議な多幸感に包まれている。

過去作から引き続き健在なシューゲイズと、今までよりも強くなったノスタルジアが涙腺を刺激する。NO AGEってこんなに優しかったのかと幸せな発見。

Youtubeを貼ったりしていたら随分と長くなってしまうので、ベストソングは分けることにした。じゃ、Youtubeを張る必要などないのでは?とか言ってしまうのは無粋な証拠。なぜなら自分だったら読んだその場で聴きたいから。そういう気持ちを「優しさ」と言うんじゃないだろうか。もしくはエゴイズム。

【2018年12月28日:追記】
2018年の年間フェイバリットアルバムフェイバリットソングも書きました。

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