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20年のあっという間。OK COMPUTER OKNOTOKを聴いて

OK COMPUTER

先日、RADIOHEADの名盤中の名盤「OK COMPUTER」のリマスター盤が、リリース20周年を記念して発売された。

「OK COMPUTER」が出たのは1997年。彼らがそれまでにリリースした「Pablo Honey」や「The Bends」などの、いわゆるギターロックと言われる音楽の領域をぐっと広げたアルバムだ。そんな革命的なアルバムが出て早くも20年が経ったという事らしい。

で、実は僕は発売当時にこの歴史的な名盤「OK COMPUTER」を聴いていない。高校生だった僕は当時吹き荒れていたメロコアブームの風に抗う事もせず、Hi-STANDARD、SHERBET、POTSHOT、GREEN DAYなどのメロディックハードコアバンド。はたまたもう一方で一大ムーブメントを起こしていたビジュアル系バンド、LUNA SEA、L’arc~en~Ciel、SIAM SHADEなどのGIGSに乗っている系(個人的呼称)の音楽を聴いていた。

僕がRADIOHEADにどっぶりとハマったのは「OK COMPUTER」の3年後、2000年にリリースされた「KID A」だった。それまでバンドものばかり聴いていた僕にとって「KID A」はどこまでも画期的だった。専門学校の終業制作の際に学校へ泊まり込んだ時などは、夜中にひたすら「KID A」を聴きながら訳のわからないFlashアニメーションを作っていた。そのアニメーションは今考えても訳がわからな過ぎて当時はもっとちゃんと制作に向き合ってればよかったな、などと考えては溜息。

そんな事はさておき「OK COMPUTER」が出たのが1997年。それからもう20年経っているのだ。そのスピード感に心底驚いた。逆に計算をすると、1997年の20年前は1977年。Sex Pistolsが「Never Mind the Bollocks」を、The Clashが「White Riot」を、The Damnedが「Damned, Damned, Damned」をリリースした所謂ロンドンパンクの最盛期だ。

LUNA SEAを聴いていた1997年当時の僕でもSex Pistolsは知っていた。ただ音楽の歴史上のグループとしてある意味The Beatlesと同じような並びで知識として知っていた。20年とはそのくらいの長さを感じさせるものだった。

それが「OK COMPUTER」から既に20年とはどういう事だ。あと3年もすれば僕が心から愛している「KID A」からも20年経つ。未だに人生で一番好きなアルバムは「KID A」などとぼやいているのにだ。

そういえば昨年、僕は一時的に黒とピンク色でお馴染みのCDショップでアルバイトをした。同僚だった二十歳過ぎの男の子にストロークスって知ってます?と聞かれた。2001年に1stアルバムの「Is This It」でロックンロールリバイバルを起こし、それまで主流だったラップメタル・ヘビーロックブームを打ち砕いた輝かしいバンド。あのThe Strokesだ。

もちろん知っている。当時はThe Strokesのお陰でリアルタイムに聴きたいバンドがグッと広がった。心の中で「グッバイ、リンプビズギット」「グッバイ、ニッケルバック」と思っていたもの。もちろん知っているよ。

20年の時間の早さを感じて、改めて今の、リアルタイムの音楽をたくさん聴きたいと思った。音楽もファッションも一定周期でリバイバルが起こり、80sブームは90sブームになり、Suchmosのお陰もあってJamiroquaiはまた大人気だ。

ファッションはリバイバルによる新陳代謝がうまくいっている様に感じる分だけ、洋楽への聴き方はどうなんだろうと思ってしまうところもある。いつまでもBorn Slippyで盛り上がっていていいのだろうか(好きだけど)。いつまでもKurt Cobainを神格化していいていいのだろうか。海外のシーンではリバイバルとして盛り上がっているものが、日本では90年代当時の地続きのまま人気だったりしないだろうか。CDショップでは懐メロ的な音楽が売れ、いつまでもOASISは最高のバンドみたいだ。本当に面白いのはリアルタイムな今の音なのに。

あと数年もすれば00sリバイバルも起こるだろう。その時に日本のメジャーシーンではどんな音楽が鳴っているんだろうか。当たり障りのないアイドルソングだろうか、高速4つ打ちのJロックバンドだろうか、EDM的なダンスボーカルグループだろうか。それともDon’t look back in angerなどの懐メロだろうか。なんとなく今のまま変わらない気もする。

僕は一体、何様でどの立場からこの文章を書いているのだろう。
人生で一番好きなアルバムは「KID A」などとぼやいているのにだ。

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